肺癌と親父 2014年4月、私は鎌倉の自宅に訪れていた親父の後ろ姿にシャッターを切った。 それは、親父がステージ4の肺癌末期だということを医師から聞かされた直後だった。 この時初めて、親父の秘密を、しかも親父自身が知らない親父の秘密を知りながらシャッターを切ったことを、今でも鮮明に覚えている。 それから3年、私は親父の姿を撮り続けた。 「死ぬなよ、親父。」という静かなメッセージをシャッターに込めて。